2011420@中野サンプラザ

『Family Record』ツアーファイナル、延期後の振り替え公演である。一列目という今世紀最大の運を使い果たした私。名前しか知らなかった中野サンプラザで、最前列ってこと、これが震災の振り替え公演であることも加味して超・神妙な気持ちで赴く。会場入りする時に千葉から来たという方と少し話す。もう少し話してみたくなる方だった。中に入ってみて自分が一列の中央であるのを知り慄く。夢のようでうれしいというよりマジ怖い。今までクソ真面目に生きてきて、そんな自分がつまらないと思うこともあったけどクソ真面目に生きてきてよかった、と思った。今日のこの日が来るまで、腸が煮えくり返るようなf*ckな出来事があったけどもうどうでもいい。私は愚直に目の前のことをやって生きていくだけだ。と急に啓示のように、思った。
予定時刻、客電がゆっくり溶けるように消えて、カーテンの向こうに三人のシルエットがうつる。「東京」のイントロが鳴って、止まりそうだった心臓が急に元気になり始め(笑)、幕が上がっても、自分はもうそこからずっと笑顔だった。
ハタノさんの挨拶はあったものの、始めはMCもなく、立て続けに曲をやる、という感じだった。福井くんが「静かですね」とぽっと言ったときになんとなく客席全体の緊張がとけたような気がする。ハタノさんは自ら「楽しい!」と言っていたのが印象的。歌声が力強くなっていた。あと、アンプに乗ったお姿は初めて見た(興奮)。「(本来なら)さくっとツアーは終わらせて次の段階に行こうと思っていた」等など、すごく言葉を選んだ上で率直に話してくれたハタノさんの誠実さには涙が出た。ダイゴマンは・・・素敵だった。それにしても今の髪型、おしゃれすぎじゃないですか!昔の短髪が信じられない。アンコールのときに本当にしみじみ「来てくれてありがとう」って、泣かせる気か!
顔はずっと笑顔でも、個人的には大好きな曲「ストックホルム」あたりで体のこわばりがとけてきて素直に動き始めた感じだった。背中の羽を1本 ちょうだい 嫌だよ! いやぁ最高に楽しくシンガロング。(一列目なので周りの動きが全然わからないのが怖かったんでややひかえめ)それ以降はコブシをたまに挙げたりしてみた。はじまりの国のイントロでは、嬉しくてつい。
圧巻だったのはやはり本編ラストの「JFK空港」だ。野音(去年の10月かぁ・・・)では聴けて居なかったこの曲。すさまじすぎて聴き終えたあと倒れるかと思った。立ってたけど。これまでPeopleの音楽で「幸せ」を得てきたけれど生で聴いたこの曲は猛烈に悲しい気持ちを連れてきたし、戦慄した。ハタノさんの言っていたPeopleの次の段階、という意味がものすごくよく分かった。人生でこんなに素晴らしいものに打ちのめされることは数えるくらいも、無いだろう。
僕たちはまだこの世界に産まれてはいない
受けとめて、君 
みて 
晴れた

空から降ってくる

例えになってないけどマーズヴォルタのライブを見たときの戦慄のそれ、を上回っていた。好きなバンドという思い入れも吹き飛び、このバンドが世界的に素晴らしいことに私は戦慄したんだと思う。この曲をやるまでは、いつも以上にフランクで温かいMCや見ていて一発で分かる三人の信頼関係、バンドとしての生命力とそれを間近で見られる幸福、Peopleを好きな自分の審美眼、いや審美耳??など、あとはもちろん生きていることの幸福を感じていたんだが全部吹き飛んだ。アンコールも、なくても充分、とさえ思う完成度だった。いやもちろん、聴きましたけどね。(あとアンコールで出てきたハタノさん床に座って足ぶらぶらさせてかわい過ぎるんですけど!!)記念撮影後はなんと新曲。「愛してるよ」って歌詞だった!そして「She Hates December」!嬉しいなあ。彼方に吹き飛んだ気持ちがちょこっとずつ現実世界に戻ってきた。
最後の最後はまさか聴けるとはな「ヨーロッパ」。
しみじみと、クワトロワンマンの時のことを思い返した。People In The Boxは限られた人が聴く音楽ではない。そんなどう見ても当たり前のことを思った。このバンドの懐の深さを思った。どんどん好きになる。どこまで行くんだろう?