第三舞台 封印解除&解散公演 『深呼吸する惑星』@紀伊国屋ホール

人生初の、第三舞台で、それが解散公演、っていうなんだかよく判らない立ち位置で紀伊国屋ホールに。
理由はひとつ、ただただ観たかったから。
紀伊国屋は個人的に言ったらナイロンの『消失』以来だ。うわ何年前??それも12月だった。いまだに切ない。

冒頭のダンスシーンが印象的。ビハインド・ザ・マスク(超名曲。しかしそれもね、あとで調べました。YMOちゃんと聴いたこと無かったっていう;)が暗闇でかかるなか、各演者の張り詰めた指の先をじっと見つめながら「こ、これが第三舞台か・・・!」とおののく私。(パンフレットの写真で今見ると小須田さんの腕にびしっと筋が張ってて悶え)

SF設定や(物語の設定上)急に繰り出されるギャグや着ぐるみ・・・に度肝抜かされつつも笑い、次第に劇団独特の雰囲気に馴染んできた頃、
筧さんが正面切って朗々と声をあげるシーンにはドキドキさせられた。これは恋にも落ちるわ・・・!!

しかし軽い物見遊山気分もここまで。私はナイロンにハマって他の芝居も見始めた口なのでみのすけさんが出た『トランス』を観ている。そこから鴻上さんの本を色々読むようになったのだが・・・『トランス』で胸掴まれたあの台詞が今作にも出てきたのだった。
あの芝居を観て思ったことが怒涛のように押し寄せてきて、苦しくなった。
絶望を乗り越えるためのユートピアが私たちに今必要である。
皮肉なのか必然なのかそれは分からないが、閉じこもるのでなく、その外で戦うために。
そう思ったらもう、舞台上のすべての人たちが愛しくなった。
和解のための抱擁のシーンには胸が熱くなった。
風に舞う黄色い花びらの中ひとり立つ高橋一生君の格好よさと言ったらもう。

終盤、SFめいた物語の世界が私たちの「今まさにここ」にリンクし、深呼吸の真の意味が分かっても、それでも私は今いる場所で精一杯深呼吸をするだろうと思う。そうでなきゃなんで生きてるんだ。
芝居の中でのダンスシーンでは「ずっと好きだった」いわずもがな名曲、で芝居が終わったあとかかっていたのは「ずっとウソだった」。神のような選曲!こういうことの出来る芝居というメディアを俺は愛してる。
本当に面白かった。