今日は握手をして別れよう。

映画『コントロール』、wowwowで観る。私はジョイ・ディヴィジョンというバンドをよく知らない。
ニューオーダーの前身バンドという知識しかなかった。
ボーカルだったイアンを失ったジョイ・ディヴィジョンが後にニューオーダーになった、というひとかけらの知識だけ。
ニューオーダー、一枚だけアルバム買ったことあったなあ。。。)
映画としては重くて暗くて退屈に思う人もいるかも。モノクロームだし。
しかしとても面白かった。監督がフォトグラファーなのも効いている。
イアンの苦悩を捉えたさまざまなカットが良かった。
イアン役のサム・ライリー近藤公園に似てるの。
そう思ったらとたんに集中できなくなってきたんだけど。
いやあ、見ごたえのある映画でした。
バンド映画(と括るのも失礼かもしれないけど)の一番良いところ、演奏シーンがなにより素晴らしい。
二十三で死んだなんて。本当に早すぎる。CD中古で今度買ってみよう。

◆群像6月号より本谷有希子『あの子の考えることは変』これ、出色の出来です!ほんたにさん。
(どうしても「hon-nin」のほんたにちゃんが強烈だったのでいつも読み間違う;)いや、もとやさん。
私は劇団本谷の方は実際に観るチャンスがなくてテレビで放送された『腑抜けども、』をチラ見した程度。
はっきり言ってファンじゃない。すいません、でもこのひとの書く小説は面白い。『生きてるだけで、愛』も重たさが残って良かったけど、今作のどーしよーもない女[巡谷&日田]二人珍道中の方が、結構読んだあとクるわ。単行本になったときの装丁がまた楽しみ。
劇作家で演出家で小説を書いていて純文学系(系ってなんだ。まあ新潮か群像か文学界か、あとすばるか)文芸誌に掲載される人は多くいるけど、群を抜いてすごい。強度が。
文中で出てきた、「巡谷の、突然死にたくなる一億の瞬間と、それ以外」っていう手記のタイトル、これを今作のタイトルにしても良かったと思う。それくらい、文章のセンスが秀逸。
「死にたくなる一億の瞬間と、それ以外」さあ、言いたい人はご一緒に。声に出してみたい日本語!
笑いながら、あ、笑えない必死な部分に愛おしさとちょっとのドン引きを感じつつも読み終えたら、「死にたくなる一億の瞬間」が少し遠のく。さ、それ以外のべらべらな時間を生きてみせよう。

◆他読んだもの。
長嶋有『ねたあとに』
舞城王太郎ディスコ探偵水曜日
津村記久子『八番筋カウンシル』

最も面白かったのは③・相変わらず悪意ある人々の描写が冴えている。それに対峙する主人公たちの心の清さ。そしていつものことながら偏らない(俯瞰ですべての人物を活写する)作者の視点が良い。
①はまあいわば作者(っぽい人)を登場させたメタフィクションもの(?)。『ジャージにて』とか『優のドナタ』とか色々面白いんだが、
長嶋ファンなら最もにやにやなシーンがある。それはかの「オーエ賞」オファーのくだり。取れるわけないじゃん、な空気に、
「でもさ、悲観はしてないよ。『パーマン』の最後もそうだった」って。。。。!!可愛すぎるコモロー。可愛さを感じる箇所じゃない気もするけど;ある種の名台詞だと思った。それだけでなくコモローやその他たくさん出てくる強烈人物を分け隔てなく眺める久呂子さんという語り手の視点がやさしい。
②・・・は、上巻読破のみで下巻読んでないのでどうも。面白いけど(ゴモゴモ)、謎解きに興味ないからさ読み飛ばし(すめん)・・・本郷タケシタケシって(人名)それだけですごい面白いんだけどね。
暴力担当の水星C(すいせいしー)がキャラとしては、いい。
総じて普通に読んでると混乱するっていうか。気が狂う。その混乱を楽しめないときっと舞城ファンにはなれないんだろうねえ(しみじみ)。気力があるときに下巻読みます。うっす。