『欲望という名の電車』のブランチに感動したのはわたしのなかにブランチが居たからだ。

もっと言えば、わたしのなかにテネシー・ウィリアムズが居るってことなんだけど。
(つまり自分のセクシュアリティ、それが他者との摩擦の種や壁になるということ)
篠井さんは自分のなかのブランチを出し切って演技していた。だからあの日私は泣いた。

もともと原作が好きだったから芝居に行ったけど、このきっかけで篠井ファンになったのだ。
(G2演出の三軒茶屋婦人会『ウドンゲ』も観に行ったしね。あれはホント面白かった!)

そーんなスズカツ&篠井さんのタッグ。今度は水戸で観られるなんて。
しかも演目は『サド侯爵夫人』。三島由紀夫、う、詳しくないけど。
観たい、そう思って頑張ってチケット取って、三島の文庫まで買って臨んだものの、
やはり敷居は高すぎて。。。
豪華(かつ各登場人物の資質を細やかに反映させた)衣装を眺めて目を楽しませる以外は
マジで台詞の応酬なので(三島のオリジナルに忠実)、
正直睡魔に三度おそわれました;一幕に一度というありえないバカ観客;

それで意見を言うのはどうかとも思う。
けど言いたい。原作を読んで一旦は附に落ちたような(気になっただけの)、
どうしてルネはようやく釈放されて戻ってきたはずのサドには会わず去ったのか、という謎は、今も、謎です。
スズカツさんはたくさんの補助線を引いてくれていたんだけども。。。
観終わった今の感想はこれに尽きる。謎は謎、と。

篠井さんの声、姿、立ち振る舞いは全て、美しかったです。
若いときのルネの卵色のドレス、めちゃ似合ってた(衣装さんのお仕事がすみずみまで素晴らしい)
この観劇、なかなか得難い体験だったとは、思う。
うーむ。もうちょっと、考えよう。謎について。

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)

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